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木製サーフボードの作り方・準備編【種類と特徴】

木製サーフボードを作ってみたいと、考えたことはありませんか?

Youtubeなどで『How to make a wooden surfboard』と検索すると、たくさんの動画が出てきます。

しかし、そのほとんどが一般家庭にはない工具を使用しているものばかりです。現在の木製サーフボードは、こちらの動画のように作成されています。

しかし、この動画のようなサーフボードの枠組みを自宅で作成するのは、難易度が高いと言えます。

難易度が低く一般家庭で可能なのは、次に紹介する動画の『木製サーフボード』です。枠を作成せずに、空洞は最終工程で作っています(空洞を作成する工程は6:12付近から)。

この動画を見たら、『もしかしたら自分でも木製サーフボードが作れるかもしれない』と思えませんか?

今回の記事は、『一般家庭でも出来る木製サーフボードの作り方・種類と特徴編』です。

木製サーフボードの基本

ポリウレタン(PU)フォームの台頭と共に姿を消した木製ボードでしたが、現在でも木製サーフボードを作っている人がいます。

木製サーフボードは基本的に、内部が空洞になっている必要があります。

木製サーフボードの内部は空洞である必要がある

どうして空洞がないとダメなの?

サーフボード内部を空洞にすることで、軽量化と浮力の向上が計れるのです。

中身を空洞にしないと、とても重たいサーフボードになってしまいます。重量の増加と共にサーフボード自体の浮力も下がってしまい、パフォーマンスが低下してしまうのです。

木製サーフボードの作成では、『内部を空洞化』させることは非常に重要な行程です。空洞化することで強度は落ちますが、ガラスクロスで補うことができます。

木製サーフボードの種類(空洞の作り方の違い)

木製サーフボードの作り方を大きく分けると、2種類あります。それらの違いは、『空洞の作り方』にあります。

組み立て型タイプ

組み立て型タイプは、切り抜かれた薄い板を組み込んで作られたものです。それぞれのパーツを、プラモデルのように組み込んでいくのが特徴です。

組み立て型木製サーフボードの特徴

組み立て型の利点は?

組み立て型タイプの利点は、軽量化がしやすいことです。

また、それぞれのパーツが独立し組み立てられていくので、乾燥による木材の変形の影響を受けにくいと言えます。

組み込みを終えたら、デッキとボトム部に薄い木材を取り付けます。デッキ部の強度は下がりますが、ガラスクロスを使用することで同問題を解決できます。

組み立て型で使用する工具はプロ向きのものが多く、一般家庭で作成するには難易度が高いと言えます。

こちらの作成方法の場合、サーフボード用のCADソフトを使用する必要があります。

akushaperは使いやすいサーフボード専用のCADソフトウェア

どうしてCADソフトが必要なの?

その理由は、各パーツの寸法を計算し、木材を切り抜いて行く上でCADの使用が必要不可欠だからです。

サーフボード専用のCADソフトは、月額制で使用出来るものが多いです。気になる方はチェックしてみてください。

サーフボード専用CADにはいくつかありますが、有名どころは『AKUSHAPER』です。英語ですが、2週間のフリートライアルもあります。

【サーフボード専用3DCADキャドソフト】AkuShaper

切り抜きタイプ

切り抜きタイプは、厚めの木材を使用して木製サーフボードを作成するものです。

切り抜きタイプは、最初に厚い木材を重ねてサーフボードのシェイプを作成します。その後、一度バラしてそれぞれの木材を切り抜くというものです。

切り抜き型木製サーフボードの特徴

切り抜きタイプは簡単にできるの?

難易度は、組み立て型タイプよりも低いと言えます。

使用する電動工具も一般の方が手に入れやすいものが多いです。この方法であれば、電動工具のジグソーとサンダーを持っていたら、一般家庭でも作成は可能だと言えます。

また3DCADを使用しなくても、サーフボードを作成することが可能です(テンプレートの作成は必要)。

木製サーフボード作りに必要な材料と工具

材料

  • 木材(バルサ材、またはキリ※詳細は後記)
  • レジン(エポキシあるいはポリエステルレジン)
  • ガラスクロス

レジンについては、こちらの過去記事を参考にしてください。

道具

  • ジグソー
  • サンダー
  • カンナ
  • ヤスリ
  • クランプ
  • ヘラ

木材関係の必要工具は、こちらのリストになります。

サンダー

サンダーは、やすりがけ作業が可能な電動工具です。

手作業でできないの?

電動工具はあれば便利ですが、やすりがけは手作業でも不可能ではありません。ただし、手作業での木工は非常に時間がかかってしまうので注意が必要です。

電動木工工具があれば作業は一気に捗る

カンナ

カンナは、研磨作業前の仕上げ段階で使います。

カンナは木製サーフボードの仕上げに必要不可欠

クランプ

クランプは、接着剤をしっかりと固着するために使用するものです。複数必要になるので、準備してください。

固着作業中は、ゴムバンドや糸などで補助的に固定するのも1つの方法です。

クランプは木製サーフボード作りに欠かせない

ヘラと筆

ヘラと筆は、レジンをコーティングするときに使います。木工ではなく最終作業(グラッシング)で使用するものです。

筆はなくても最終仕上げは可能ですが、あればより繊細な作業ができるようになります。

筆とヘラで木製サーフボードの仕上げ

ジグソー

ジグソーは、ノコギリの役割を果たす電動工具です。

正確にカットができるため、木工作業には欠かせません。作業時間を短縮したい人にとって、電動工具は木製サーフボード作りに必須だと言えます。

木製サーフボードに適した木材とは

木製サーフボードに使用する木材は、桐(キリ)、或いはバルサ材が望ましいです。その理由は、桐(キリ)とバルサが非常に軽い木材だからです。

両木材とも密度が低く非常に軽量ですが、強度が十分にあります。

軽いのに強度が高いの?

バルサ材はアメリカにおいて、戦時中の戦闘機や偵察機の材料としても使用されていました。桐(キリ)は湿気を通さない性質があり、割れや乾燥による狂いが非常に少ないのが特徴です。

これらの特性がある木材を使えば、作成して日にちが経っても歪んだり曲がったりしません。

両木材とも、木製サーフボードに非常に適した素材だと言えます。

それ以外の木材だとどうなるの?

桐やバルサ材以外でもサーフボードは作れますが、重量が増加してしまうことと、乾燥によって変形してしまう可能性が増えます。

また完全に乾燥していない木材を使用すると、日が経つにつれて木材が大きく変形してしまうことがあります。廊下を歩くとギシギシなるのも、木材の歪みからくるものです。

木製サーフボード作成で特に大事なのは、きちんと乾燥工程を経た木材を選ぶことです。

正しい乾燥工程を経ていない木材を使用すると木製サーフボードが台無しになってしまう

まとめ

木製サーフボード作成は、簡単な作業ではありません。

ただ、今回紹介した方法であれば、木工が得意な方であれば実現可能なのではないでしょうか。

もちろん、木材でフォームブランクスを作成した後も作業は続きます。

フォームが完成したら、そこからは通常のサーフボード制作の工程と同じです。ガラスクロスを巻きレジンでグラッシング、研磨を終えれば木製のサーフボードの完成です。それらの作業も、決して簡単なものではありません。

それでも、木製サーフボード作りに挑戦してみる価値は十分にあります。

自分の作った木製サーフボードで波に乗ることができたら、一生忘れられない体験になることは間違いありません。木工に自信のある方は、是非挑戦してみてください。

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