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シングルフィンサーフィンの基本ラインどり大全集と考察【ショートボード・ミッドレングス用】

今回の記事は、様々な動画を検証しながら『シングルフィンサーフィンのライン取り』について研究していきます。

ロブマチャドはサーフィンをしている時、常に新しいラインを探している

そんな話を聞いたことがあります。

動画内の波の種類を考えながら、レベルの高いサーファーたちがどのようなライン取りをとるのか、研究していきます。

備考】今回の記事はパフォーマンスサーフィンでの加点要素や検定に焦点を当てていません。あくまでも、波に対してどのようなアプローチの選択肢があるのか、自分なりに考察しているだけになります。ご了承ください。

シングルフィンのライン取り大全集

最初は、ショートボードからミッドレングスのラインどりについて研究していきます。

まず最初に参考にしたいのは、こちらの動画になります。

0:14秒からのサーフィンですが、この状況下で、頭に浮かぶのはどのようなラインどりでしょうか?

どんな板で?

サーフボードはシングルフィンで、テールはラウンドピンテールぎみです(動画内冒頭より)。

動画内のサーファーがとったラインどりは、波のトップから中腹部を切り裂くようなカットバックでした。例えばこのとき、『深いボトムターンをしてトップに当てに行く』という選択肢もあったと思います(緑色のライン)。

サーフィンのラインどり一例

他にどんな選択肢がある?

この時点でサーファーができたラインどりは、大きく分けて3つです。

  • ボトムに浅く降りて波に対して斜めにアプローチをして、カットバック
  • ボトムに深くおりてトップにタイミングを合わせてトップターン
  • 動画でサーファーが実際にしていたようにフェイスを切り裂いて一気にパワーゾーンに戻るカットバック

波が速い場合のラインどり

波が速い場合は、緑色のラインどり(波に対して斜めにアプローチする)をしたほうがセクションを抜けやすいはずです。ボトムターンの深さを調整できる技術さえあれば、波次第でトップターンにしたり、カットバックに変更することもできます。

波が速ければ、ハイラインで一気に抜けるのもひとつです。

速い波でカットバックして戻ったらだめなの?

赤のラインどりはパワーゾーンへ一気に戻るという意味では優れていますが、技術がないと波に当て返す位置や高さ次第で失速してしまう可能性も秘めています。

動画内のサーファーのようなラインどりを成功させるためには、『リエントリーの技術』を高めるのが必要不可欠です。

どうやったらリエントリーが上手くなる?

リエントリーのこつは、こちらの記事がとても参考になります。

【外部サイト参考】リエントリーのやり方

小さく厚めの波でのラインどり

サイズが小さくて分厚い波の場合は、ハイラインを中心としてカットバックで波のパワーゾーンに戻る意識でいるのも一つの方法です(トップターンかカットバックかを状況に応じて判断できる)。

深いボトムターンをしてトップターンをしたい・・・

サイズが小さいのにボトムに降りすぎると、失速してしまいます。特にシングルフィンの場合は、無理をしてトライフィンのようなサーフィンをしても上手くいきません。

スピードをキープしてくれる場所を探すのも、『シングルフィンサーフィンのラインどり』に必要不可欠です。

スプレーを後ろに飛ばすためのラインどり

スプレーを波の後ろ側に飛ばすということを目的にしたサーフィンの場合は、緑色のラインどりをするのが正解だと言えます。

シングルフィンでできるの?

参考までに、こちらの動画をご覧ください。

モダンサーフィンに精通しているサーファーたちが、シングルフィンでリッピングしています(サーフボードシェイプはクラシックではなく、現在のパフォーマンスボードに近いです)。

先述したように、波の後ろ側にスプレーを飛ばしたいのだとすれば、こちらの動画でのラインどりは非常に参考になるはずです。

基本的にボトムターンでのラインどりをベースとして、波に対してアプローチしています。

どこに着目したらいい?

特に注目したいのが、2:00からのラインどりです。ほぼ11時を指して、波の後ろ側にスプレーを飛ばしています。いい意味でも悪い意味でも、シングルフィンらしくないサーフィンですが、参考になるのは間違いありません。

シングルフィンでの縦への動きライン参考

最初の動画との違いは?

一番最初に紹介したシングルフィンサーフィンとの違いは、

  • ハイラインを中心としてラインを描くのか(1つ目の動画)
  • ボトムで調整をしながらラインを中心に描くのか(2つ目の動画)

だと言えます。

クラシックシングルフィンでのラインどり

次にクラシックなサーフボードシェイプでシングルフィンの場合は、どのようなラインどりが可能でしょうか。

動画内のサーファーは、サーフィンの原点とも言えるレジェンド、故バテンス・カルヒオカラニです。

どんな特徴がある?

彼のサーフィン自体に独特なリズムがあり、まさにフロー感があふれる美しいラインどりだと、個人的には感じてしまいます。リエントリーも非常にスムースで、サーフィンのラインどりで新しい形を生み出した、正真正銘のレジェンドです。

クラシックシングルフィンのラインどりの特徴は?

クラシックシングルフィンのラインどりは、基本的に2次元(横方向)の動きが多いですが、バテンスは所々で縦に対してもアプローチしているのが分かります。

バテンスは、従来の2次元から『3次元ラインどり』への扉を開けた、第一人者のひとりだったのです。

どんな特徴がある?

バテンスのような波の全体を使ったカットバックは、衝撃的な印象を見ているサーファーに与えます。人並外れた身体能力があるからこそのラインどりも中にはありますが、見ていて憧れてしまうラインどりです。

下のスクリーンショットで確認すると、カットバックが大きいのが理解できるはずです(横方向からのアプローチ)。

バテンスの独特なサーフィンにおけるラインどり考察

こちらのスクリーンショットは、バテンスが縦方向にアプローチしているものです。波が速いので、深すぎない位置からのボトムターンでトップターンを行なっています。

無理のない自然なラインどりこそシングルフィンサーフィンの真骨頂

波にサイズがある厚めの波でのラインどり

最後に紹介する動画は、シングルフィンの大先生であるジョエル・チューダーのサーフィンです。動画内の波は、サイズがありますが厚めで、所々速くなるセクションもあるのが特徴です。

厚めのサイズがある波でどんなラインどりをしている?

ジョエルチューダーのラインどりを自分なりに分析すると、以下のようになります。

  • トップターンをするときは、斜めに板を返す(12時の方向を無理して描こうとしていない)
  • パワーゾーンから基本的に離れない
  • ボトムからラインを描いていく
  • カットバックを波の高い位置で行っている

先述したようにどちらかといえば厚めの波だと言えますが、早くブレイクするセクションでは、波の中腹部以上でのラインどりを行なっているのがわかるはずです。

例えばどんなふうに?

1:22秒付近の波に対しては、トップで軽く当てた後ボトムに降りすぎないことで、速いセクションを見事に抜けているのが分かります(下の写真のように板をトップで軽く返した後、すぐに横に走っている)。

波が早くなるセクションの直前でボトムに降りすぎず横に走っている

他にどんな特徴があるラインどり?

波自体がたるいセクションではカットバックを行い、パワーゾーンに戻っています。それ以外のセクションでは、パワーゾーンのボトム付近でのサーフィンを基本として、トップターンとカットバックを見事に使い分けています。

これだけ波にサイズがあれば、ボトムにおりすぎてもスピードに乗ることができると言えます。

まとめ

ライン取りとは、『波に対してどのようなアプローチをするか』です。シンプルなようで奥が深く、思った通りにできないのもラインどりです。

自分の場合は、ほぼいつも同じようなラインどりになってしまいますし、なかなか新しいアプローチの仕方を習得することもできていません。

今回の記事を書くことで、自分の頭をほんの少しだけリセットできたような気がします。次のサーフィンで活かせれるように、憧れのバテンスの動画を見続けようと思います。

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